日々の庭づくり/造園施工
幽玄の庭(渋谷区神山町の庭園 施工例)
東京都渋谷区神山町にて、庭園設計および造園工事を行いました。 ご自宅の改装とともに、お茶室も新たに設けられ、都心の喧騒を忘れさせてくれるような居住空間と庭園が完成しました。
作庭前に、「幽玄の庭」と命名したいとご主人から伺い、作庭作業中からその言葉の繊細さ、微妙さを感じました。人間の作為が見え透いてしまえばこのテーマにそぐわないと思ったからです。
蹲踞の石組を組む時には石の持つ力や美しさを引き立たせるように集中しました。延段や石垣は,蹲踞を引き立たせるように味わい深い素材を据え、全体を包み 込むように枝垂れ桜を植栽させていただきました。 素材の味わいを引き出すことに集中することで、自然と作為から離れることが出来たように思います。
主景の蹲踞

枝垂れ桜
主木に立派な枝垂れ桜を植栽したことで、空に向かって庭園の空間が広がりました。夏には適度な木陰を作り、苔の生育を助け、春には美しい花を見せてくれることでしょう。
延べ段
延べ段には基礎石を、石垣には根府川石を用いました。苔との馴染みもよく、侘びた風合いなので景石を自然に引き立ててくれます。
隣地境界の目隠し兼背景として、上部を乱れ形式とした竹穂垣を作らせていただきました。適度に光や風も通します。この竹穂垣は樹木とも相まって、庭に野趣を添えてくれます。
今後、枝垂れ桜がより立派に成長し、毎春花を咲かせてくれることを願っています。そして、より幽玄な趣を醸し出してくれることと思います。 ありがとうございました。
掲載日:2013.09.23