My Works
寺院前庭 石組の庭(東京都文京区光源寺様にて造園)
東京都文京区にある光源寺様は、駒込大観音や四万六千日ほおずき千成り市で知られ、地域の人々に親しまれる、温かい雰囲気のお寺です。
以前ご依頼を受けた本堂と庫裡の前庭にあたる部分の造園工事をご紹介します。
新築された本堂と庫裡を引き立て、主張しすぎない落ち着いた雰囲気を醸し出せるような庭を目指しました。
左側が庫裡、右側が本堂ですが、落ち着いた石組が建築を引き立てながら遠近感を感じさせます。石材は、境内に保存されていたものを再利用させて頂きました。
ポイントに、マツ シャリンバイを植栽し、苔やヤブコウジを地被に用いました。
なだらかな築山の二石組
微妙な角度や高さにこだわって据えた石組からほど良い緊張感を感じることができます。
施工中の様子
三股とチェンブロックを使って石を動かしています。微妙な角度や高さを調節でき、重機に比べ低騒音で場所をとらないので、石組には欠かせない道具です。
整地後の石組
植栽をする前に石の角度や地面の高さを 微調整しておきます。
マツの植栽
通路の反対側にも石を据え、背の低いマツを植栽しました。
このマツは高さが無いのに幅が6メートルほどもある、地を這うような姿です。写真の青石に組み合わせるために見つけてきました。
苔貼りの様子
日向から半日陰で育つスギゴケを植栽しています。地面に密着させるよう、丁寧に押さえます。霜の降りる冬季には敷き松葉等で保護が必要ですが、敷き松葉の景色も温かみがあってきれいです。
松と青石
三石の関係
お寺の顔ともいえる前庭に石を据え、植栽をさせて頂く事ができ、大変嬉しく思っています。程よい緊張感の中、楽しく造園することができました。
光源寺様、ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
大観音
屋上庭園 屋上緑化の施工例と施工手順(東京都文京区定泉寺様にて)
東京都文京区の定泉寺様で、屋上庭園を施工させて頂きました。
施工から2年ほど経過しましたが、樹木の生長は良好で、しっかりと根付きました。光に輝く木の葉や、季節ごとの花々が心を癒してくれます。
また、ヒートアイランド現象や大気汚染の緩和策として、屋上緑化は大変効果的です。文京区にも環境に配慮した、屋上緑化の助成金補助制度があります。この屋上庭園も、助成金補助を受けることができ、都市部の環境改善に貢献していると思います。
屋上庭園完成を喜んで下さったご住職
都心の空中庭園
屋上庭園の施工手順や植樹のご紹介をしたいと思います。
施工前の様子
コンクリートの屋上は、夏大変暑くて、室内の温度も上昇させるため、緑化することになりました。
まずはじめに、耐根シートを敷きます。コンクリートの隙間や防水層に樹木の根が入り込むのを防ぎます。
枠組みに使用した枕木に排水口を設けています。土壌が吸収しない過剰な水がスムーズに排出されるよう、多めに設ける事が重要です。排水口が小さかったり、少なかったりすると根腐れの原因になり、樹木が健全に育ちません。
耐根シートの上に保水マットを敷いています。卵パックのような形状で、凹部に保水し、余分な水は上部から排水するように作られています。
保水マットの凹部にパーライト(軽石)を入れ、上部からの土圧で穴が塞がらないようにしてから透水性のシートを敷き詰めます。
排水口にはパーライトをネットでつつんだものを設置します。土壌の流出を塞ぎ、余分な水を効率よく排水するように施工します。
透水シートの上に人工軽量土壌を入れています。 芝生地は約15センチ、植樹地は約30センチの深さにしました。土が水を含むと重量が増すので、建築の強度を超えないよう注意して設計します。
土の上にホースが見えていますが、自動灌水用のものです。ホースには約30センチ間隔で小さな穴が開いていて、水圧がかかるとすべての穴から点滴のように水がしみ出します。
タイマーを付けて、季節ごとに灌水時間と回数を調整できます。
芝貼り作業中です。基準の水糸を張って水勾配をとり、凹凸がでないよう丁寧に施工します。
目土をかぶせ、切り芝の隙間に充填します。
樹木を配置してバランスをとっています。人工土壌の深さに合わせて根をつくってあります。
中木はカラタネオガタマポートワイン ロドレイヤー アメリカハナズオウフォレストパンシー 雌雄のソヨゴ ホソバタイサンボク セイヨウニンジンボク イジュ フェイジョア
低木はセイヨウイボタシルバープリペット ベニバナトイワマンサク アベリアエドワードゴーチャ アベリアホープレイズ グミギルトエッジ グミライムライトを植栽しました。
植樹が完了しました。イナズマ形の植栽地の角に植栽したアベリアホープレイズの明るい葉がアクセントになり、遠近感を強調できました。
樹木のご紹介
ロドレイヤーの花
ベニバナトキワマンサクの花
アベリアホープレイズ
この屋上庭園が、ますます魅力的な庭になるよう、今後とも大切に管理していきたいと思います。 定泉寺様、ありがとうございました。
池の作り方と施工手順(防水シートを使ってできる手軽な池庭づくり)
防水シートを使った池の作り方を紹介します。
庭に池を作る場合、様々な防水の方法があります。日本庭園の池泉では、池の縁(護岸)に石を組むため、粘土工法やコンクリートを使った袋打ち工法が用いられてきました。ですが、元来の工法は非常に大がかりな工事になるため、一般家庭の庭には不向きな場合があります。
今回施工させて頂いた池は、カエルの産卵やトンボの産卵、水辺に集まる昆虫や水生植物の観察を目的としているので、手軽で安価に施工できる防水シートを使用しました。
それでは今回の施工手順を紹介したいと思います。
池の大きさと形を決め、仮に杭を打ってから池を掘り始めました。池の周囲を水平にするために、杭に水平線を表示します。
シートを押さえる枕木を仮置きして水平を確かめます。また枕木の位置を決めて穴の位置を合わせています。
掘り終わったら、池の内側をつき堅め、砂をまいて凹凸を無くします。
シートを敷く下に、不織布等の保護材を敷き詰めます。ゴワゴワしてシワになりやすいので、たくさん切り込みを入れました。
防水シートを敷きます。水の重さを利用して、池底とシートを密着させるために、7分目まで水を入れます。防水シートはグローベン社 製で、他社製に比べゴムの厚みがあり伸縮性もあり、丈夫です。また、シートのサイズは規格化されているので作ろうとする池の大きさにあった物を選びます。 シートが小さくて途中で継ぎ足す事になると、施工上苦労するだけでなく、漏水の心配も出てきます。シートの大きさは 池の幅+池の深さ×2 に50センチ 程度余裕をみて選びましょう。
シートが池底に密着したらシートの端を固定します。今回は枕木を使用しました。
シートの上に玉石を敷き、池の完成です。
小さな池ですが、たくさんの生物が集まる、都心で自然を感じる事のできる場所になりました。